JR岡山駅からほんの目と鼻の先に位置する野田屋町。岡山市の中心部にあって、今もなお古くからのオフィスビルや飲食店、住宅などが混然と立ち並ぶ光景が“下町”の趣を感じさせる。
最近ではそんな雰囲気や駅前他地区より安い家賃がうけて、若い世代の新規出店が相次いでおり、これまでになかった魅力も加わってきた。今回はその一部を紹介する。
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まずは柳川筋から西へ。町の南側には桃太郎大通りも走り、周辺は昼夜を問わず車や人が行き交うが、中に入ればその騒々しさがうそのように“スローな時間”が流れ始める。
「こんな駅前に、こんな下町が…って楽しくありませんか?」。そう話すのは、この春から革製品ブランド「Mitchell」の工房を構える柿光輝さん(31)。財布やベルト、かばんなど「靴以外なら何でも作る」と気合十分で、制作風景も公開する。
南に目を向けると、すっきりした外観の「コーヒー豆専門店パールデザンジュ」(086―226―9678。午前10時〜午後8時。日曜定休)。
6年前にオープンさせた店主の猿川裕介さんは、30代ながら、「アメリカスペシャルティーコーヒー協会カップ審査員」や「ワールドバリスタチャンピオンシップ日本代表選考会審査員」の資格を持つ。「銘柄ではなく、吟味した良質の豆だけを扱っている」と言い、一部は店内で飲める。
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折しも、今回訪れたのはお盆の時期。夕暮れ時、あちらこちらの家先に人が出そろい、静かに迎え火をたく姿を目にした。
「そんな風情が残っている町だから、住んでいてもどことなくほっとします」。昨秋、県北から引っ越してきた事務員女性(39)が言う。「何よりも、岡ビルがあるのがうれしいですね」
昭和21(1946)年にその前身が誕生した市場「岡ビル」(正式には岡ビル百貨店)。生鮮食品を中心に約40の店が連なる“庶民の台所”だ。
お盆明けには再び威勢の良い売り声が戻り、近所のお年寄りや料理人たちが言葉を交わしながら品定め。伊藤鮮魚店三代目の林宗男さん(40)は「市場の良さは、何といっても対面販売。気軽に何でも言って」。
とはいえ、スーパーやコンビニが乱立する中、集客は厳しいのが現状。そこで、若手店主らが中心となって昨秋から隣接の公園でイベントを開催するなど、新たな試みも始まった。住民や地域の若手経営者らも協力。今年も10月10日に「秋祭り」を予定する。
若い世代が元気をみせる野田屋町。今後も注目だ。
新たなつながりの場に
Cafe&Bar Velvet店主 田葉井浩人さん(29)
音楽イベントなどで音響を手掛けるうち、「ステージに立つ人も裏方も、みんなでつながりを深められる場があれば」と5月にオープン。今では若いバンドマンからアーティスト、OL、老舗の鮮魚店主まで多彩な客が集い、交流を重ねる。「経歴もジャンルも関係なく、楽しい時間を過ごしてください。新たなつながりが生まれるかもしれませんよ」。ドライカレーなどフードも人気。午後7時〜。水曜定休。090―6503―4458。
見るだけでも楽しい品
STAGE代表 長花秀樹さん(30)
アンティーク家具やランプ、ビンテージ古着、雑貨などを輸入・販売するショップで、3月に他地区から移転オープンした。2棟の建物内にはアメリカで買い付ける多彩な品が並び、見るだけでも楽しい。「50、60年代が中心で、同じものは手に入らない。ブドウの形をしたランプがあったり、おしゃれですよ」。店舗内に革ブランド「Mitchell」がある。午前11時半〜午後8時。水曜定休。086―266―6476。